3.239.236.140 前提主義から再建主義へ
  

 

前提主義から再建主義へ

 

 いわゆる、presuppositionalism(前提主義)は、20世紀において、キリスト教が、新たなステージを迎えた大きなステップだといわれています。

 前提主義とは、「万物を神の被造物としてのみ捉えることであり、それゆえ、万物に関する人間の解釈を神の解釈に依存させるべきである。」とする立場です。

 この徹底した有神論信仰は、オランダの神学者であり、首相を務めたアブラハム・カイパーによって本格的に始められ、オランダのアムステルダム自由大学教授H・ドーイウェルトと、アメリカのウェストミンスター神学校教授C・ヴァン・ティルに受け継がれ、とくに、ヴァン・ティルにおいて、完成の域に達しました。

 政治であれ、経済であれ、あらゆる人間の活動領域は、神の御言葉によって意義付けられ、その権威に服従しなければならないとしました。

 アブラハム・カイパーの主著である、「カルヴィニズム」は、「カルヴィニズムと政治」「カルヴィニズムと科学」・・・という章のタイトルが並んでいます。

 彼は、首相として、オランダという国のあらゆる部分を聖書に基づいて改革しようとしました。その拠点の一つとして、アムステルダム自由大学を創設したので、この大学の基本理念は、あらゆる分野のキリスト教化です。

 さて、この大学から天才ヘルマン・ドーイウェールトが現われ、彼は若干27歳にして、政府から任命されて政策のアドバイスを行う3人のシンクタンクの一人となり、カイパーの理念を継承しつつ、キリスト教的政治及び法律について深く研究し、数々の名著を生み出しました。

 ヴァン・ティルも同じように、あらゆる領域を、キリスト礼拝の場所に変えることを目指し、研究を続けました。従来のキリスト教が、初代教会以来、ギリシャ思想を受け入れ、教義の中に混入させてきたのに対して、There is no neutrality.(中立は存在しない)との立場から、あらゆる領域において、御言葉こそ最終権威にならねばならない、と説きました。

 このように、とくにオランダ系の神学者たちによって、キリスト教的な文化創設の哲学的な基礎が築かれたのでしたが、具体的に、それを社会の中に適用する方法については、はっきりと述べられませんでした。

 アルメニア系アメリカ人R・J ラッシュドゥーニーは、ヴァン・ティルの前提主義をもとに、「神の法に基づく統治」の理念を主張しました。

 従来、旧約聖書の時代に限定されるべきであるとされた数々の律法を、現代にも通用するものであると説き、それを現代生活に適用する研究を開始しました。そして、1973年に「聖書律法綱要(The Institutes of the Biblical Law)」を完成させ、諸律法を一つ一つ解説し、現代の政治や経済の諸分野に適用する基礎的な研究書として世に現しました。

 ラッシュドゥーニーの弟子であり、義理の息子であるゲイリー・ノースも、主に経済学の分野において、聖書に基づく経済学を創始しました。

 ラッシュドゥーニーが開始した、クリスチャン・スクール運動や、ホームスクール運動は、アメリカヒューマニズムに対する大きな挑戦となってきました。

 数多くの政治家や、クリスチャン運動家、牧師、教師、事業家たちが、ラッシュドゥーニーの影響を受けてきました。

 ザンビアでは聖書に基づく国家建設が開始され、大統領フレデリック・チルバら閣僚たちは、ラッシュドゥーニーの宣教機関カルケドンを通じて、理論的なサポートを受けています。

 

 シカゴには、Paul Lindstrom という牧師が、キリスト教世界観に基づく教育をはじめ、インターネットによって、全米のホームスクーラーたちを助けています(http://www.homeschools.org/)。

 切迫再臨信仰によって、終末を待望し、再臨のキリストによって、この地上の問題をすべて解決してもらおうとする、現代流行のディスペンセーショナリズム的キリスト教の非聖書的神学に対して、ラッシュドゥーニーの開始したクリスチャン・リコンストラクショニズムは、聖書に基づき世界を変革し、「あらゆる国民をキリストの弟子とせよ」との主の命令を真摯に受け取り、幾世代にもわたるクリスチャンの努力によって、神の御国の拡大と発展を企図する、真に聖書的なキリスト教なのです。