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キリスト教国家ザンビアの実験

アンドリュー・サンドリン


 あなたは、キリスト教信仰は、「個人的な問題」にしか適用できないとお考えでしょうか。つまり、キリスト教は、神妙な面もちで日曜日の礼拝に出席する人々、うわさ話に花を咲かせる木曜日の家庭聖書研究会の出席者、天上界に舞い上がる「静思の時」の実践者たちだけのものであると、お考えでしょうか。もしそうならば、アフリカのザンビアの兄弟とは話が合わないでしょう。

 ザンビアの兄弟たちは、信仰はあらゆる領域に適用すべきだと考えています。それは、政治的な領域も含みます。彼らは、キリスト教の社会を作り上げようと日夜努力しているのです(写真:フロントライン・フェローシップのチームがザンビア大蔵大臣と会見している場面)。

 わがカルケドン宣教会は、今、歴史的な機会を迎えようとしています。6月26日から28日にかけて、ザンビア国ルサカ市において、『聖書に基づく改革とキリスト教文化』というテーマで会議を開催します。

ザンビアは、現在、はっきりとキリスト教国であることを宣言している世界で唯一の国なのです。27年間にわたって、この国は共産主義の圧制の下でもがき苦しんできました。実際、かつては共産主義テロリストの主要輸出国の一つとして勇名をはせ、世界中の共産主義者はザンビアに集まり、ゲリラ戦の訓練を受けていました。

しかし、驚くべき神の恵みと、様々な摂理の御業の連続により、1991年10月31日の自由選挙において、神は、明確な信仰を表明する一人のクリスチャン、フレデリック・チルバを大統領としてお立てになったのです。副大統領にも同じくクリスチャンのゴッドフリー・ミヤンダが選出されました。議会の大半はクリスチャンによって占められています。

 現在のザンビア政権は、歴史的キリスト教に基づく国作りを進めています。

 異教の背景を持つ南アフリカの一国が、聖書的キリスト教を採用し、ピューリタンの信仰を背景とするアメリカがますます異教国になりつつある現代の矛盾に読者は当惑されるかもしれません。

 ブライアン・アブシャイアは、次のように書いています。


 選挙後の記者会見の席上で、『新しい憲法を書く予定はあるか』と聞かれた時、チルバ大統領は『その必要はありません。』と答えた。『それはすでに書かれているのです。』そう言いながら、世界各国の記者団に向かって聖書を高く掲げたのである。 


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 ブライアン・アブシャイアが「偉大な改革」と名付けた運動は、アメリカではなく、南アフリカの神を恐れる国民の内から始まるのかも知れません(いやもうすでに始まっているかもしれないのです)。

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 会議の開会式には、チルバ大統領が開会宣言をし、第1回目の会議に出席する予定です。副大統領は、全会議に出席します。

 私たちは、次のテーマについて話すよう言われています。「キリスト教社会の性質」「市場資本主義の倫理的原則」「自由の基礎」「犯罪と刑罰」「繁栄の原則」「神の恵みを招来する政策」「未来の基礎となる教育」「終末論の意味」「ヒューマニズムとハリウッド(ザンビアもこの下劣な影響を免れないのです)」「リバイバルの障害」「改革へのステップ」など。

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 マルクス主義社会からキリスト教社会への移行は、けっして楽なものではありませんでした。27年間も社会主義の教育に慣らされてきたので、ザンビアの国民全体が、国家の福祉に頼り切っています。国家は彼らにとってあたかも自分の母親であるかのようです。

長い間、政府がザンビア内のすべての問題を解決してくれると教え込まれてきたので、これまでの政府に代わって、新たに、同じような救世主的政府を待望する機運が残っていることは否めない事実です(現在国営放送はクリスチャンの放送となっています)。このような希望は、まったくキリスト教的ではありません。

神の御前で、個人が正しく自己を管理していくことが社会の建設の基盤になるべきなのです。国家にすべてを任せてしまうことはできません。

同じように、家族も教会も自分の責任を自分で取らなければなりません。その他、敬虔主義のキリスト教がザンビアにも入ってきており、世界をサタンに明け渡してしまう敗北主義的キリスト教が、国家を弱体化させる危険があります。(このような敬虔主義を受け入れると、再び社会は、反信仰的な社会主義の侵入を許してしまいます。このことを私たちは今回強く主張したいと考えています。)

 しかし、ザンビアの未来は明るいでしょう。ザンビアが選択した道は、永遠の生命に至る道だからです(マタイ7・14)。彼らは、キリストと御言葉にすべてを委ねました。それゆえ、主権者なる神の恵みを受けることができるでしょう(ヨハネ12・26)。(写真:フロントライン・フェローシップの『聖書的世界観セミナー』)

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This article was translated from "Chalcedon Report No. 382, May 1997, Historic Chalcedon Conference in Zambia June 26-28, 1997 Will you help us?" by the permission of Chalcedon.