吉井春人牧師の批判に答える10

 

<吉井先生>
旧約律法の社会制度への適用
聖書の規範性とそのねらうところを、社会の制度面でも生かそうとする傾向は、キリスト教徒に始めからあったことでしょう。特段目新しいことではありません。「彼らの思いは地上のことだけです。けれども私たちの国籍は天にあります」(ピリピ3:20)と、最終的には、天に希望が示されていたとしても、地にあって、政治活動など隣人への業は現世的な卑しいことなのではなく、「隠れたおこない」として、命じられていたことだからです。世俗社会とのかかわりは、キリスト教徒としては、これまでむしろ当然の「よき行い」展開上の一部であると受け入れられきました。一方で、テロ事件以降、イスラム法と自由主義キリスト教圏相互の法理論が対比されるようになりました。社会と宗教的規範が結びつく、政教一致は、国家神道の例を待つまでもなく、欧州の歴史が示すように様々な問題を産みだしてきました。最近はタリバン政権が「イスラム宗教法」をたてに、圧政をしいてきたことは、西側にも知られるようになりました。ただし、再建主義がイスラムのように政教一致を言っているとみなされるのは、あきらかな誤解です。政教分離原則は受け継いだとしても、将来キリスト教徒が俗権を支配するような社会においては、旧約のモーセ律法が一層規範的とみなされることにより、キリスト教徒以外はたとえ存続を許されるとしても宣教活動は禁止されます。モーセ律法に死の定罪をうけると定られた親への反抗、姦淫罪の死刑適応は復活し、同様に、しかるべき筋(日本の場合では、たとえばセオノミストキリスト教徒になった天皇とその官僚機構)から「異教徒」と判定された場合その活動は禁止され、私のような非セオノミー的な言動に対しては、よしんば迫害が加えられなかったとしても、非合法化されることでしょう。現ロシアには、旧ソ連時代、政教分離原則もあり、驚くなかれ「信教の自由」さえもありましたが、同時に「反共産主義思想を迫害する自由」もありました。共産主義と再建主義が違うことは当然ですが、再建主義が世俗の政権にたつ日には、現在のように世俗社会が多元主義のままにおかれることは「神意に反した中間性を受け入れる」とみなしますので禁止されます。セオノミーをとらない改革主義の立場(たとえば私のような)言論は許されないでしょう。収監されるか、それでも言動をやめなければ「死刑」かもしれません。

<富井>
この「イスラム原理主義や共産原理主義と聖書の原理主義を単純に『原理主義』というだけで混同するミス」についてお答えする前に、一つ伺いたいことがあります。
先生が聖書律法を否定されるならば、ではどのような代替案があるのでしょうか。もし聖書律法に規定されたことが「行きすぎ」「極端」「独裁的」であるというならば、では、先生が社会において適用されるべき法とはどのようなものであるべきと御考えなのでしょうか。まさか、自然法ではないでしょう。改革主義は自然法を否定しますね。カトリックに逆戻りしますから。
もし、聖書律法を社会に適用することを否定するなばら、社会制度については、「中立は存在する」ということを認めることになるのです。人間が頭で考えたことを肯定して、それを聖書において全能の神が教えておられる「神の法」よりも賢いものと認めることになります。
もしそうならば、先生は、聖書信仰者ではありません。
クリスチャンは、神の知恵の前に、ただ平伏すしか選択肢はありません。「自分を知恵ある者と思うな」と聖書は繰り返して警告しています。先生はこの警告を無視されますか?「徹底的に反抗する息子を石で打て」という御言葉を、「これは野蛮だ!」と非難されますか?「姦淫罪の最高刑は死刑である」という御言葉を「そんな無茶な!」と拒否されますか?

それとも、「いやいや、旧約聖書の律法は、すでに廃棄され、新約時代においてはそれよりも高い法が存在する」と言われますか?それでは、その「高い法」とは一体何ですか?それは、人間の頭で考えた法ではないはずです。それでは、その聖書に記されていない「啓示法」とは一体何でしょうか?それが神からの啓示であるという証拠は何でしょうか?

それとも、「これは、旧約聖書のユダヤ人に対して与えられた法であって、新約時代の異邦人にまで適用できない。新約時代の異邦人は新約聖書の戒めだけでよい。」と言われますか?それでは、新約時代においては「獣姦は罪ではない」と言えるのでしょうか?獣姦罪の規定は新約聖書には記されていません。また、旧約聖書において記されている法が新約聖書の法に置き換えられたという証拠はどこにあるのでしょうか。新約聖書においてイエスの「私は律法を廃棄するために来たのではない」という言葉をどう解釈されますか?パウロが「信仰は律法を確立する」と述べ、「律法も言うように…しなさい。」と命令したことをどのように評価しますか?

 

 

02/06/19

 

 

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