契約の5条件(その1)

 

 聖書学者たちが数十年ほど前から、古代近東諸民族の宗主契約文書と聖書契約の構造の類似性について調べてきました。

 メレディス・クライン博士や、O.P.ロバートソン博士の研究が有名です。

 レイ・サットンはこの研究をふまえて、1980年代半ばに画期的な本を著しました。それは、That You May Prosper (ICE, TX)です。

 聖書契約の構造、とくに、契約の書である申命記が5つの条件から成り立つことを書物の中ではっきりと主張したのです。

 これは、聖書の主張、神と人間との関係の知識を得る上できわめて優れたツールです。

 古代近東の宗主国と属国との間に結ばれたように、神とイスラエルとの間にも、宗主契約が結ばれました。

 それは、次の5つの条件から成り立ちます。

 (1)超越 (主権者の宣言)

 (2)上下関係 (統治のシステム)

 (3)規範 (守るべき掟)

 (4)制裁 (掟に伴なう賞罰)

 (5)相続 (支配の継続)

 この構造は、聖書の至るところに見られます。

 創世記の最初の部分はこの典型です。

 (1)創造者なる神

 (2)人間に被造物支配を任せる

 (3)守るべき掟----善悪の知識の木の実を食べるな

 (4)掟に伴なう祝福と呪い----永遠のいのちと死

 (5)相続不能----肉体の死と霊的死(エデン追放)の宣告

 この契約の構造は、神が決定されたものであるため、永続的な価値があり、神と人間のあらゆる関係に適用できる普遍性を持っています。契約の構造にしたがって考えるならば、神とクリスチャンの間の関係がはっきりわかります。

 宗主国と属国との関係において、宗主国は属国にその国の支配を委ねます。例えば、アッシリアが征服した国に対して、アッシリアは、「わたしの意志にしたがって、おまえの国を治めよ。」と言います。

 それと同じように、神は人間に「わたしの意志にしたがって被造世界を治めよ。」と言われたのです。そして、属国が宗主国アッシリアに対して、規範どおりに服従しない場合にアッシリアからの制裁が下るように、神も人間が不服従な場合は、人間に罰を加えます。

 そして、もし徹底した反逆を起こし、革命を行うならば、神は、人間を切り離されます。

 それゆえ、聖書において、繰り返し、パウロは「不品行、魔術、占い、好色・・・を行う者が神の国を相続することは絶対にありません。」と言ったのです。

 「わたしはクリスチャンだから・・・」といいながら、主権者である神に不服従を続ける人は、神の国から追い出されます。

 本当のクリスチャンであれば、聖霊がうちに住んでおられます。それゆえ、彼は罪を犯しつづけることができないはずです。

 罪を犯しつづける人は、そもそも聖霊がうちに住んでおられず、生まれ変わっていないのです。本当のクリスチャンであれば、必ず神を主権者としてみとめ、その規範に服従するはずです。

 神と人間との関係は、「主権者と従属者」の関係であり、「主権者が従属者に支配を委ね、主権者の規範に基づいて、国を支配するように任命された」という関係です。

 それゆえ、頑固に不服従を続けたり、そもそも、神の規範に従う義務はないのだと主張するキリスト教は、神に対する革命をもくろんでいるため、キリスト教と呼べないのです。

「律法は今日無効であり、クリスチャンはあらゆる規範から解放されたのだ。」と主張するキリスト教は、非契約的であり、主権者を排除することを目指す革命宗教です。それゆえ、それをキリスト教と呼ぶことはできないのです。

 

 

 




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