弟子化の意味

 

<ご質問>

貴殿の定義によりますと、プレ・ミレ主義はクリスチャンを消極的・悲観的・怠惰にならせキリストの精神に反するものであるとのことですが、すこし違うように思うのです。例えばエホバの証人ですが彼らもプレ・ミレ主義者であると思うのですが、彼らはけっして悲観的・消極的・怠惰ではないからです。世界中の人々を教えて弟子にするというキリストの使命を嬉々として行っていますし、千年王国の到来を心底望んでいます。直前の反キリストの暴虐に対してもなんの恐れもいだいておりませんし、そのことは悲観的・消極的そして怠惰になる理由にもなりません。霊的な勝利こそ真の勝利であって肉的な敗北は真の敗北ではないと考えているからです。彼らの精神態度は、ポスト・ミレのあなた方と全く同様にきわめて楽観的・積極的なのです。

 

<お答え>

まず御断りしておかねばならないのは、エホバの証人は、キリストを神として礼拝しないので、聖書的とは考えられず、キリスト教徒と考えることはできません。

さて、エホバの証人だけではなく、プレ・ミレの人々が「弟子とする」という場合、「社会や制度、文化を変革する」という部分は含まれていません。彼らの「弟子化」とは、人々に伝道して彼らをクリスチャンにし、彼らが聖書にしたがって祈りやデボーションや教会生活を正しく行うために訓練することを意味しており、社会や制度、文化の創造・変革により、全世界の神的回復までは視野に入れておりません。

ある代表的なプレ・ミレの伝道者は、「我々は魚を釣るために召されたのであって、水槽を掃除するために召されたのではない」と言いました。彼らにとって「弟子化」とは、魚を釣る(人々に伝道して彼らをクリスチャンにする)ことだけです。水槽を掃除する(世界をキリストの命令によって変革する)ことまでは目的としていません。いや、むしろ、彼らは、大患難時代がやってきて、クリスチャンの文化的営為はすべて反キリストによって滅ぼされる、と予言します。先日ハーザー誌において私と議論した奥山氏(プレ・ミレ)も、創世記128の文化命令は、堕落前の人間に与えられた使命であって、堕落後の我々に与えられてはいない、我々がすべきことは、全世界の人々に福音を伝えることであり、文化まで変革する必要はないと明言しました(20015月号)。

それに対して、我々ポスト・ミレの人々が弟子とするといった場合、それは、ただ伝道だけではなく、「この地上に存在するあらゆるもの、国家、諸制度、文化、芸術…」をすべて神の言葉によって変革することを意味しているのです。我々は、世界のあらゆる領域は聖書とその原理によって運営されるべきであると考えます。

 

<ご質問>

千年王国が到来するまで怠惰にならずにひとりでも多くの人々を弟子にするというキリストの精神態度に忠実に従っているように私には思えるのですが。

<お答え>

紀元○○年の「紀元」にあたる英語のADは、Anno Domini の略です。Anno Domini とは、「主の年」という意味であり、この暦称の中には、「現在が主の支配の時代であり、今が千年王国である」という考えが含まれています。

 

<ご質問>

強烈な事前警告が暴力的伝道になるかどうかは異論のあるところだとは思いますが、

<お答え>

強烈な事前警告が暴力的伝道になると言うのではなく、「再臨のキリストを見た人々が、その威光を見せつけられて回心する」というような方法は、「自発的」ではなく「強制的」であると言ったのです。

人々が回心するのは、「宣教のことばの愚かさ」(1コリント 121)を通じてであって、あくまでも福音伝道を通じた聖霊の働きによる「自発的回心」でなければならない、と聖書が述べているのですから、「雲に乗ったキリストの威光を見たユダヤ人が『自分が突き刺した人を見て嘆き悲し』み、回心する」というような大患難時代のユダヤ人の回復は、「強制的」であり、聖書的ではあり得ないと申しあげたのです。

 

<ご質問>

聖書教育という建てる業(積極的なクリスチャンを育成する)こそ人間に委ねられた真の仕事ではないかと思うのです。建物が壊れ、自然が荒廃し、交通が麻痺してもそれらは一時的なことで、積極的なクリスチャンが増えればすぐに楽園になるからです。

<お答え>

積極的なクリスチャンが増えても、そこに教えと指導がなければ、「熱心だけで知識のないのはよくない」(箴言192)とあるように、人々は迷い出ます。聖書に基づいて、世界のあらゆる部分について考え、教えられることがなければそのような変革は不可能です。

聖霊だけではなく、聖書が与えられたのは、人間は聖霊を持つだけではなく、書かれた言葉による指導が必要だからです。個人生活の分野において聖書の教育が必要ならば、社会生活の分野においても聖書的教育が必要です。

 

 

 

02/02/10

 

 

ホーム

 

 

 




ツイート