ばかになれ?2

 

 マタイ5・38〜の「右の頬を…」や「ミリオン…」「上着…」は、個人的な怨恨による復讐を禁じた教えである。

 いつの時代の軍隊でもそうであるように、当時征服国のローマ兵は、属州民のユダヤ人を侮辱したり、通り掛かりの人に強制的に荷役を負わせたり、暴行略奪などを繰り返していた。

 この屈辱をはねかえすために、多くの人が暴動を起こし反乱を企てたのであるが、イエスは、このような解決は間違いであるという。

 聖書は、繰り返して、選民であるユダヤ人が他国の侵略にあったのは、武力が欠如していたからではなく、彼らの霊的な失敗に原因があったことを示している。つまり、ユダヤ人が高慢になって神の契約を破ったことが原因だった。

 本質的な解決は、「右の頬を打たれたら、相手の左の頬を打ち返す」ことにあるのではなく、すすんで神が自分に与えられた状況を受け、身を低くすることによって神が自分を高めてくださることを待つことにある。

 「自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされる。」

 「右の頬を…」を、正当な防衛をも拒否する「無防備のすすめ」と解釈してはならない。

 

 

 




ツイート