崩壊しつつあるアメリカの公立学校

                                                by ラス・ウォーレン

 

 そもそも、アメリカにおいて、学校は何のために設立されたのであろうか。就きたい職業が何であれ、とにかく全員を大学に進学させることを目的として設立されたのか? 10才にも満たない子供たちを国家の操り人形、ヒューマニズムのロボットに変えるために設立されたのか?それとも、もっと他に、聖く尊いクリスチャン的な目標があったのだろうか。 そう! はじめ、学校はクリスチャンのために作られたのだ! 元来、学校は、クリスチャンの子弟が聖書を読めるようになるようにとの目的で作られた。それが今や、最高裁は、学校で聖書を用いることを思いのままに禁止できる。
 
 私は現在、ノンクリスチャンの高校に通っている。これまでの人生の大半をノンクリスチャンとして過ごしてきた。しかし、天の御父の導きによって私はカルヴァン主義のクリスチャンになることができた。これまでの学校生活を振り返り、学校が何を行い、どのように堕落し、どこに向いつつあるかについて考えてみたいと思う。
 
 小学校に入学したとき、わたしはまだ幼く「無邪気」であった。わたしは、両親が命じるとおり、先生が語ることをすべて鵜呑みにしていた。しかし、若者となった今になって思い返すと、教師たちが、子供時代のまだ柔らかい私の魂に植え付けたものは、単なるヒューマニズムと国家主義のあだ花でしかなかった。彼らの教えの中心にあるのは、自尊心である。この世の学校に通っている生徒に聞いてみるがよい。だれもが「何年もの間、自尊心を持てと教えられてきた」と言うだろう。これは、フロイトやユング、他の心理学の「大学者」たちが唱えた心理学的異端(psycho-heresy)である。この国家主義者の教えを一言で言えば次のようになる。すなわち、「だれも完全な者はいないのだ。だから、君たちは自分が行うことに自信を持ちなさい。たとえそれが間違ったことであってもだ。たとえ、君たちが新聞ですら報じることをはばかるような悪事を働いたとしても、自分に自信を持ち続け、いつも幸せな気分でいなさい。」
これこそ、わたしが長い間学校で教えられてきたことなのだ。聖書を開くと、この自尊心が信仰とまったく矛盾する教えであることに気づくのである(エレミヤ17・9、ローマ3・16、等)。感傷的で無価値で世俗的な「クリスチャン」を作り上げるには、まず、この自尊心を教えることである。この意味で、公立学校は非常に偉大な仕事をしていると思う。罪とその結果を忘れるように仕向ければ、創世記3章5節を自分の言葉にすることができる。公立学校は、我々を、自らの運命の決定者――すなわち、神――に仕立て上げている。
 
 公立学校はもう一つ聖書に真っ向から対立する教えを教えている。小学校において、この攻撃はさほどひどくはなかった。ある教師は、教会に行くように勧めてくれさえもした。しかし、ひとたび高校の門をくぐると、クリスチャンになったばかりのわたしには、猛烈な攻撃がふりかかってきた。現在、わたしは、学校にレポートを提出しようとしている。それは、公立学校が教えている、ピューリタンと宗教改革者についての説明がまったくのデタラメであることを指摘するものだ。公立学校の教師たちは、これらの素晴らしいクリスチャンについて、意図的に事実を捻じ曲げて伝えている。そのため、生徒たちは聖書を信じる者に対して憎しみを抱くようになっている。ある教師は、ルターは「反ユダヤ主義者」であると述べた。まじめなルター研究者のだれもがこれが間違いであることを知っている。(他のまじめなクリスチャンと同じように)ルターも、神が冒涜されることを嫌っていた。しかし、神を敬わない教師たちは、これらの人々がキリストの偉大な力を現していたことを知っているので、あえて彼らについて悪印象を与えようとしている。教師たちは、私の信仰はピューリタン主義であると批判している。
 
 公立学校が教える誤謬として最後に挙げなければならないのは、進化論である。多くの生徒たちが、この擬似科学を受け入れるよう、妥協を強いられている。創造論に一瞥を与えることすら許されない状況である。
 
 これらの謬説に無防備に晒されるのも、昨年で終了した。というのも、主はわたしを契約の中に迎え入れてくださり、わたしは自由にされたからである。わたしは今、学校の中のヒューマニストたちと戦っている。それは、主の戦いは最後に勝つからである。ゲイリー・デマーは、次のように述べた。「権威の回復は、個人個人が神の御前に自分の責任を負うことから始まる。[御言葉によって]家庭を完全に作り変え、他の同志と共に、学校、教会、仕事、地域社会、国家、政府を作り変えることによって、権威は[神の御手に]戻る。」(Gary DeMar, Ruler of the Nations, 1987.)家庭は、神の律法の下に自分を正しく治めるために、まず第一歩を踏み出さねばならない。神の御教えに基づいて自らを改革(再建)しなければならない。国家の教会――公立学校――は崩壊するだろう。そして、教育の内容や社会的な貢献度において公立学校を凌駕すべく立ちあがるクリスチャンスクールが、それらに取って代わるだろう。(多額の税金が注ぎ込まれているにもかかわらず)教育の効果を失いつつあるスラム街の学校は次々と生徒を失うだろう。そして、生徒たちは、安全で、神の法を教え、人間の全的堕落を教える学校に集まって来るだろう。これは、武器や暴力による戦いではなく、理念の戦いであり、聖書と魂の武器によって戦うべき戦いなのだ。クリスチャンが社会を神の御手に取り戻そうと決意するときにこの戦いは勝利する。敵も味方も血を流す必要はない。神の御言葉に記されているように、御国が広がるにつれて勝利は徐々に我々のもとにやってくる。
 
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ラス・ウォーレンは、ニューイングランド州オマハ市ウェストサイド高校に通う16才の高校生である。卒業後は、カベナント・カレッジに進学を希望している。オマハ地区に新しくできた、メシア教会(アメリカ長老教会)に所属。将来牧師になることを希望している。ラスの電子メールアドレスは、rvwarren1@home.comであり、ホームページはhttp://members.truepath.com/CRSW6である。
 
(Russ Warren, "Public Schools in America Take a Downward Slide", in Chalcedon Report No. 404, March 1999. の翻訳。This essay was translated by the permission of Chalcedon.) 
 
 


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