キリストを専制君主にする終末論

 

 メシアニック・ジューは、律法の回復を唱えるにもかかわらず、前千年王国説の終末論を唱えている。

 近い未来にキリストが再臨し、神殿が再建され、千年王国が始まって、キリストはイスラエルから全世界を支配するという。

 これは非常に奇妙である。というのは、現在、世界の人口の大多数を占める非キリスト教徒たち、とくにヒューマニスト、イスラム教徒や日本人などは、キリストが王になることをまったく望んでいないからである。

 世界の大多数の人々が、まったくキリストを受け入れる準備もできていないのに、キリストが再臨され、支配を開始するとなれば、当然、強制と武力による以外にはないということにならないだろうか。

 イスラエルの神殿からキリストは、全世界の政府に命令を下し、キリストに反対する無数のイスラム教徒たちを黙らせるために、モサドなどの秘密警察を駆使して、テロ対策をするとでも言うのだろうか。

 それとも、キリストは全知だから、陰謀の芽をすぐに積むことができるから秘密警察など必要ないとでも?

 どちらにしろ、再臨のキリストの王国は、専制と全体主義になる以外にはない。

 「いやいや、再臨のキリストの神的威光を見れば、みなキリストに従いたくなるだろう。」

 しかし、もしそうなら、なぜキリストは初臨のときに、復活の栄光の姿で支配なさらなかったのだろうか。

 なぜ復活した後に、昇天せずに、そのままとどまってイスラエルから全世界を支配しようとなさらなかったのだろうか。

 そのほうが、よっぽど伝道になるのではないか?

 

 このような露骨な栄光の顕現や即物的な手段は、神の本性と矛盾している。キリストは、「見ずして信じるものは幸いなり。」とトマスに言われた。

「神は宣教の愚かさを通じて人を救うことをよしとされた。」という聖句と矛盾するこのような暴力的な終末論は早晩捨て去られるであろう。

 

 



ツイート