我々は賢い政治家を必要としている


郵政民営化案で反対票を投じることに決定した柏村議員がTVで「小泉さんは愛がない。私は田舎の人々を大切にしたい。」と述べていた。

逆なんだ。

公社という形で存続させることよりも、民間に任せたほうが愛があるのだ。

国鉄や電電公社の例を出すまでもなく、公営会社というものが、どれだけの無駄な金を使うか考えてみよう。

それだけの税金を非効率な組織に費やすよりも、金の使い方についてきわめてシビアな民間に回そう。

私は公務員の家庭で育ったので、民間のシビアさについてまったく知らなかった。

それを学んだのは企業に勤めてからだった。

全社一丸となって無駄というものを徹底して排除する。

無駄の排除は、社員の行動の一つ一つに及んだ。

社員として成長するということは、「もっとも合理的に行動できる人間になる」ということだった。

民間は客の獲得に神経を使うが、公営企業はそうじゃない。昔の国鉄の切符売りの態度を見れば分かるだろう。

国鉄の民営化に際して、友人の国鉄マンが「民営化すると顧客サービスが低下します」と書いたビラを配っていたが、逆になった。

聖書が言うように、人間は堕落しているので、ほうっておくと、どんどん低きに流れる。

顧客を獲得してもしなくても給料が同じならば、顧客サービスに注意を払わなくなり、態度がぞんざいになるのは当然だ。

「人間の良心を信じよう」なんていうカントのスローガンが間違いであるのは、公営企業の巨額赤字によって証明されたではないか。

時代の流れは、これからどんどんと聖書の「人間堕落説」に基づいた社会制度の建設に向かうだろう。

人間信頼(性善説)に基づくシステムにしがみつく人間は振り落とされるだろう。

今回法案が否決されれば、日本が自己改革できない国であるということが露呈されるので、恐らく円はかなり下がるだろう。

ますます日本の外交力は下がり、ますます外国からバカにされ、プレゼンスを失うだろう。

(昨今の日本が諸外国から軽く見られているのは、中国のデモの際に小泉さんが強行に抗議せず、むしろ、中国に謝罪するという愚を犯したからにほかならない。弱腰を見透かされた国は金だけ毟り取られて捨てられるのがオチだ。)

我々は賢い政治家を必要としている。

 

 

2005年8月7日

 

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