ヴァン・ティルはセオノミスト・ポスト・ミレだったのか?


<Q>
1)Gary North のコメントとして「ヴァン・ティルは、偽り――自然神学と自然法
理論――を我々の眼前に鮮やかに示してくれた。しかし、彼は、それらの偽りを捨
てた後に、何を信じるべきかを少しも示してくれなかったのである。」とありま
した。「何を信じるべきか?」聖書、ではいけないのでしょうか。Northへの回
答になっていないでしょうか。
これと関連して
2)「しかし、もしそれ以上の論を主張してはならないというならば、いかなる
論の発展も期待できません。ヴァン・ティルだけでは、どうしても現実の社会の
問題を取り扱うには足りないのです。(中略)そして、彼らの議論を完膚なきま
でに破壊するのです。しかし、彼のやったことは、それだけでした。破壊するだ
けで、建設はしなかったのです。」ですが、
要は、総論は確立したけれども、各論の展開に及ばなかった、という理解でよろ
しいのでしょうか。
それは我々VanTilianに遺された「宿題」であって、実際に例えばRushdoonyや
Bahnsenが発展的に応答した(さらには、今後の我々の任務である)ということ
でよろしいでしょうか。
3)「オランダ系改革主義神学者の代表である、ゲルハルダス・ヴォスとその弟
子ヴァン・ティルが、無千年王国説であり(中略)ポスト・ミレの影響が弱くな
りました。」とございましたが、別稿に「ヴァン・ティルは後千年王国論者で
あった」のタイトルで、「ヴァン・ティルは明らかにポスト・ミレである。(中
略)ヴァン・ティルを無千年王国論者とし、再建主義者との差異を強調すること
は間違いであろう。ヴァン・ティルは、認識論においてだけではなく、終末論に
おいても、再建主義と同一の意見をもっていたと考えるべきだ。」ともありま
す。私は現時点において後者の理解をとりますが、よろしいでしょうか。


<A>
そのとおりです。
ヴァン・ティルは、実質的には、セオノミストで、ポスト・ミレですが、公的には否定しました。
実質的にというのは、そういう発言をしています。セオノミーやポスト・ミレの発言をしているのですが、学生が尋ねると、「旧約律法については、わかりません」とか「再建主義といっしょにしないでください」という答えをしたのです。
ですから、再建主義者も、ヴァン・ティルを再建主義者であったと公的に言えない状況です。しかし、内容的にはヴァン・ティルは同じ考え方を持っていたとしてもいいと思います。
ただし、もう一点、ヴァン・ティルは、無千年王国説的な考え方をし、この歴史の中において善が勝利するとは限らない的な発言もしています。むしろ、歴史が進展すると、善も悪も両方進展すると。
ですから、ゲイリー・ノースは、Dominion & Common Graceにおいてヴァン・ティルを無千年王国論者と宣言しました。
つまり、ヴァン・ティルは、まだ「その時代に入っていなかった人」「中間時代の人」であったということです。
問題意識がはっきりとし、神学的に首尾一貫化したのは、R・J・ラッシュドゥーニーとグレッグ・バーンセンからです。

 

 

2008年6月1日

 

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