イスラエルは紀元70年にすでに回復した?


ローマ11章のイスラエルの回復が紀元70年に終わったというフル・プレテリストの説が信じられないのは、イエスがマタイ28章で「すべての国民を弟子とせよ」と述べているからである。

「それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々(原語では『ユダヤ教外の諸国民』『異邦人』)を弟子としなさい。」(マタイ28・19)

ローマ11章でパウロは、まず異邦人が回復しなければユダヤ人は回復しない、と述べている。

「兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていていただきたい。それは、あなたがたが自分で自分を賢いと思うことがないようにするためです。その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、こうして、イスラエルはみな救われる、ということです。こう書かれているとおりです。「救う者がシオンから出て、ヤコブから不敬虔を取り払う。」(ローマ11・25-26)

たとえ、マタイ28章の「すべての」が彼らの言うように、「ローマ帝国の」と解釈したとしても、紀元70年までにローマ帝国の異邦人諸国がクリスチャンになったことはなかった。

それにイエスは、「人々は、剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれ、異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。」(ルカ21・24)と言われた。

もし異邦人の時が紀元70年までに終わっていたとすれば、エルサレムは紀元70年前にイスラエルに回復されていなければならなかったが、そんな記録はどこにもない。

むしろ、紀元70年にエルサレムは異邦人の手に渡り、イスラエルは滅亡したのである。

それに、仮にイスラエルが紀元70年までに回復したと考えることができたとしても、「自分が滅んでもいいからイスラエルの民を救って欲しい」と願ったパウロが、紀元70年の破局の有様をもって「イスラエルの回復」と考えるはずがない。

紀元70年は、イスラエルにとって、破局であって、完成ではない。

紀元70年以後、異邦人に救いが及び、世界の教会は異邦人が中心となって形成された。

つまり、紀元70年から現在までの時代は「異邦人の回復」の時代であり、「異邦人の完成」はまだ先にあると考えるべきである。

ローマ11章のように、異邦人が完成したら、ユダヤ人の回復がある。

私は、アブラハムの肉的子孫である、アラブ人もユダヤ人とともにいずれ回復すると信じている。彼らがイスラム教を捨てて、クリスチャンになる日が必ずくると信じている。

アブラハムの血を濃厚に受け継いでいる人種、ユダヤ人とアラブ人、そして、私は日本人も含まれると考えるが、これらの人々が聖霊の奇蹟によって回心し、はじめの祝福の状態に帰ると考える。

彼らは、アブラハムのゆえに祝福にあずかるべき人々である。今は異邦人が救われるために、脇に追いやられているだけである。

このような回復が紀元70年に終わったと述べ、それ以上の回復を期待せず、偶像礼拝の現状にある彼らをほったらかしにするフル・プレテリズムを受け入れることは私にはまったくできない。

 

 

2004年12月28日

 

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