それにしても、今回の訪朝には、外務省の中に北の利害を代表して活動している人が関わっているという非常に確実性の高い情報を信じさせるに足る要素がいくつかあった。

相手は崩壊しかかっているのだ。援助は喉から手が出るほど欲しい。

瀕死の重症患者に対してなぜ恐れる必要があるのだろう。

問題は核か侵攻以外ないだろう。

しかし、もし核や日本侵攻を行えば、自国の棺おけに最後の1鎚を加えることになるのは目に見えているのだから、そう簡単にやるはずはない。

あくまでも北朝鮮が核武装を強調するのは、自分が死にそうなのを隠して、手持ちに有利な条件がまるでない中でより多くの援助を引き出す「延命のための必死な努力」以外に理由は何もないのだ。

つまり、核の恫喝は怯えるに値しないということだ。

では、日本はなぜこれだけ相手に遠慮しているのか。

もう、政府、外務省の中に北の関係者がいるとしか考えられない。

拉致家族は常々ある特定の外務省上級官僚を名指しして、不信感を露にしてきた。

今回の訪朝にも彼は同行したが、これまでの彼の言動を見ると、小泉さんを誘導して、相手に有利になるよう交渉のストーリーを操作した可能性は十分にある。

そうとでも考えなければなぜ、日本がこれだけ北に譲歩するのか私にはわからない。

2004年5月27日