選挙民は言葉に騙されるな


(1)
今回の米大統領選挙で、ブッシュ大統領を支持するクリスチャンたちが「道徳は重要である。ブッシュ大統領は、アメリカにおいて聖書の道徳を回復するためにやってくれるだろう。」というのをたびたび耳にした。

あまりにも無知である。ブッシュ大統領がイラク戦争において何をしたのか、彼が911とどのように関わったのか、背後でブッシュ大統領を動かしているネオコンの野望がどのようなものか何も知らない。

いや、知っているかもしれないが、あえてそういった側面を無視している。テレビスタッフが、イラク戦争の不正について尋ねると、言葉に窮する姿をたびたび見かけた。

思考停止である。

一番操作されやすいタイプの人間だ。

「聖書の価値や道徳を広めるために頑張っている人だから・・・」

こんなこと本気で信じている。

なぜ彼らはすっかり騙されてしまったのか?

それはリーダーが騙されているからだ。彼らは金と名誉に目がくらみ、骨を抜かれている。

数々の福音派のリーダーが「彼らは家庭の回復のために活動しているから」という理由で、統一協会と協力し、彼らの団体の理事になり、金をもらい、集会でスピーチしてきた。

(2)
我々クリスチャンは、美しい理想をかかげ、そのために活動していると宣伝する人々を、まず「疑え」と命令されている。

「にせ預言者たちに気をつけなさい。」(マタイ7・15)

「聖書の価値・道徳を回復します!」と宣言したからといって、彼が大統領にふさわしい人間かどうかをチェックしたことにはならない。

本当にチェックするには、「実」を見ることである。

「にせ預言者たちに気をつけなさい。彼らは羊のなりをしてやって来るが、うちは貪欲な狼です。
あなたがたは、実によって彼らを見分けることができます。ぶどうは、いばらからは取れないし、いちじくは、あざみから取れるわけがないでしょう。
同様に、良い木はみな良い実を結ぶが、悪い木は悪い実を結びます。
良い木が悪い実をならせることはできないし、また、悪い木が良い実をならせることもできません。
良い実を結ばない木は、みな切り倒されて、火に投げ込まれます。
こういうわけで、あなたがたは、実によって彼らを見分けることができるのです。」(マタイ7・15-20)

ブッシュ大統領は本当に良い実を結んできただろうか。

彼は、「フセインは、大量破壊兵器を所持し、我々を攻撃しようとしている!」と言った。嘘つきじゃないか?

そして大量破壊兵器がないことが明らかになった後でも、「我々がやったことは正しかった。フセインという独裁者がいなくなったから。」と自己正当化している。偽善者じゃないか?

偽りの理由ではじめられた戦争によって、無辜の人々が大勢亡くなった。人殺しじゃないか?

ブッシュ大統領の表面的な発言しか見ようとせず、彼の実質を見ないアメリカ福音派のクリスチャンは、偽預言者に騙される「善良な愚者」である。

(3)
我々選挙民は誰について行こうとしているのか。我々を騙して利用しようとする者が多いのだから、しっかりと彼らの実質を見極めるために情報を集め、よく考えよう。テレビなどのマスコミの情報だけで安易な判断をしないようにしよう。

「わたしに向かって、『主よ、主よ。』と言う者がみな天の御国にはいるのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行なう者がはいるのです。
その日には、大ぜいの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言をし、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって奇蹟をたくさん行なったではありませんか。』
しかし、その時、わたしは彼らにこう宣告します。『わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け。』
」(マタイ7・21-23)

 

 

2004年11月9日

 

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