ヴァン・ティルは三位一体内部において契約があると考えていた


ヴァン・ティルは三位一体内部において契約があると考えていた。



この本体論的三位一体(ontological Trinity)は、経綸的三位一体(economical Trinity)の基礎を形成する。したがって、創造または再創造(つまり、すべての有限な存在)に関するすべての神意は、神の本質のペルソナ間の合意の性質を帯びている。つまり、神のペルソナ間の関係は、契約的関係である。

この永遠の契約、神意の契約において、神は人間を取り扱われる。ある意味において、これらの神意は、神の内部に向けられた事柄(opera ad intra)である。というのも、それらは歴史的なものに何も影響していないからである。しかし、それは神の外部に向けられた事柄(opera ad extra)である。というのも、それは歴史において将来起こる事柄と関係しているからである。しかし、いずれの場合においても、それは、神の内部における契約的活動であり、この活動によって、人間の神に対する関係が確立される。

したがって、神と時間的存在との関係はすべて契約関係である。創造するのは、一人の神であるが、神の創造は契約的関係を通じて行われる。贖いをなさるのは一人の神であるが、贖いは契約関係を通じて実現する。例えば、御父は万人の救いを望んでおられるわけではない。御子に救いを有効化させ、聖霊にそれを一部の人々に適用させ給う。・・・

これまで、三位一体の存在と活動の性質について、実際の歴史と関連づけずに述べてきた。実際の歴史がその契約から除外されているということではない。神の計画に関する限り、それは契約のうちに含まれているのであるが、しかしまだ実現していないのである。

さて、重要な結論が、この三位一体内部における契約的関係から引き出される。まず、これは次のようなことを意味する。すなわち、ご自身のうちの契約と創造を関連付けるのは神の本質であるがゆえに、すべての時間的出来事は永遠に確実なのである。神は、ご自身の永遠の存在の内部において、有限な人間を取り扱われたので、彼のすべての行動は、世界の基礎が置かれる前から知られているのである。

それゆえ、罪の確実性は、神の御心の内部に含まれている。我々は、的外れにならないために、それを許容的神意と呼ぶかもしれないが、その確実性は、やはり、ある真に神秘的な方法で神の計画と結び合わされなければならない。他方で、三位一体内部における、人格的な、それゆえ、契約的な関係の現実性とバイタリティは、それが我々のロジックにとっていかに不調和であろうと、神の本質の統一性(Oneness)によって、有限な人間の真の自由の基礎を形作るのである。

このように、神は、人間に純粋に自由で有限な契約的人格を与えつつ、人間との歴史的契約的関係に入り、この関係を現実化し、それに命を与えることもおできになる。それゆえ、契約関係は、有限者が無限者に対して立つ唯一の関係である。というのも、神の三位一体の永遠のペルソナは、契約関係において互いに対して立っているからである。「神において一つの意思しかないのであるから、三位一体内部における契約関係について語ることはできない。」ということは有効な反論ではない。同じ主張は、純粋な人格性をも破壊するだろう。たしかに、神において意思は一つしかないが、ここにはまさに神のペルソナの神の実体に対する関係が存在する。

さらに、被造物に対する神の御心は一つしかないが、3重の関係が存在する。御父は、時間の世界において、創造であれ贖罪であれ、あらゆる活動の究極の源として常に表現されている。というのも、御父は、神の本質の内部において、永遠において御子を生み、御子は第二であり、御霊は完成者であるからである。神は世界を創造されるが、それは、ロゴスを通じてであり、御霊は、虚空の上を舞いかけ、創造を完全な姿に整え給う。それゆえ、贖罪の歴史において、御父は平和の契約の建築士であり、御子は三位一体の第二位格として人の子、受肉した神となり、聖霊は救いを心に適用し給う。

さて、それゆえ神と有限な世界との契約的関係により、我々は結論として「創造が神に対して絶対的に依存している」ということを主張できる。いかなる実体、力、「現象的偶然、活動、もしくは、質」も、神のご計画の外において確実性を持たない・・・。世界は神の流出ではなく、また、それは、理神論の主張のように、神から独立しているのでもない。

Van Til, Cornelius, "Calvinism And The Will; Decree And Covenant in The Works of Cornelius Van Til, (New York: Labels Army Co.) 1997.", The Works of Cornelius Van Til, (New York: Labels Army Co.) 1997.

 

 

2008年10月26日

 

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