人々は終末の破局を期待するクリスチャンに魅力を感じるか?


ポスト・ミレでは、現在の世界を「法的な千年王国」と見る。

これは、日本に帰化したブラジル人のようである。

彼には完全に日本人としての資格がある。国籍もあるし、選挙権もある。

しかし、彼は日本語がほとんどできない。まだ日本の習慣にもなれていない。

つまり、彼は「法的な日本人」であるが「実際的な日本人」ではない。

このように、この世界は「法的には」キリストの王国である。

旧約聖書の預言はすべてキリストにおいて成就され、キリストが王となり、アブラハムの領土預言も法的に回復した。

つまり、アブラハムが約束された領土は回復した。今やすべてはキリストの領土となった。

しかし、それは、「法的な領土」であっても、「実際的な領土」ではない。

「実際的な領土」になるには、そこに住んでいる住民がクリスチャンになって、土地においてキリストを王としてまつらなければならない。

これは、パレスチナの土地だけではなく、全世界について言える。

全世界の土地はキリストのものである。しかし、「実際には」キリストのものではない。

これを「実際の領土」に変えるべきである。それは、クリスチャンが伝道して、各地の住民に福音を伝え、その住民が自ら進んでクリスチャンになり、政治も経済も一切の事柄についてキリストを王とし、聖書を生活の最高規範として受け入れることを意味する。

世界のすべての民族が政治も経済もあらゆるものにおいてキリストの主権を認めるように変わること、これこそ、聖書が教える歴史の意味であり、目標である。

つまり、神の国の拡大である。

これが実現する前にキリストは再臨しない。

「このイエスは、神が昔から、聖なる預言者たちの口を通してたびたび語られた、あの万物の改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。」(使徒3・21)

ここで「万物の改まる時まで」は原語では「万物が回復する時まで」となっている。

つまり、万物が元の秩序に回復する=創造主なる神が主権者であった最初の秩序に回復するまで、「イエスは、・・・天にとどまっていなければな」らない。

プレ・ミレは、再臨のイエスが万物の秩序を回復してくださると教えているが、そんなこと聖書のどこにも書いてない。

「しかし、キリストは、罪のために一つの永遠のいけにえをささげて後、神の右の座に着き、それからは、その敵がご自分の足台となるのを待っておられるのです。」(ヘブル10・12−13)

ここでもキリストがご自身で世界を回復されるのでないことは明らかである。

「その敵がご自分の足台となるのを『待って』おられる」のである。

「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」(ヘブル1・13)

ここでもキリストは待たされている。

聖書ははっきりと、「キリストが万物の秩序を回復するのではなく、父なる神がそうする」と述べている。

キリストは、父なる神が秩序を回復するまで天の右の座について待っているのである。

だから、今キリストは、天で世界の回復を待っておられるのである。

父なる神は、地上に聖霊を送られ、人々の心を変え、彼らに神に従順な心を与え、民族を弟子化される。

世界のすべての民族の弟子化が終わったら、キリストは天を離れて我々のもとに来られる。

キリストの再臨を早めたい場合、プレ・ミレは、世界の様々な地域において「終末的な破局」を期待する。

しかし、同じものを求める場合、ポスト・ミレは、世界の様々な地域において伝道が進むことを期待し、その国民が聖書的な生活を送るようになることを求める。

どちらが健全だろうか?

クリスチャンが、破局を求めてよいのか?!!!

人々が911のビル崩壊の様子を「いよいよ終末が近い!」とワクワクしながら見てよいのか?!!!

そんな不心得な態度の人間を人々は尊敬するか?!!!

なぜ今伝道は停滞し、人々はクリスチャンになりたがらないのか?

クリスチャンが不謹慎だからだ!!!

実際のところ、オウムのハルマゲドン信仰と同じだからだ!!!

人々が911のビル崩壊に巻き込まれ、巨大津波に飲まれ、これから起こる可能性のある天変地異におびえる時に、クリスチャンはいよいよ「さあ、終末の秒読みが始まった!!黙示録に記されているとおりのことが起こっているじゃないか!!」とワクワクしながら、テレビに釘付けになっているのである。

戦争犠牲者の苦しみも考えず、ボランティアにも行かず、反戦運動のために立ち上がらず、むしろ、逆に戦争を喜び、陰謀に期待し、対岸の火事を見るように、傍観している我々の姿を見て、人々はつまづかないか???

プレ・ミレは次の一つの聖句によっても反駁できる愚かな説である。

「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。」(マタイ5・9)

 

 

2005年2月1日

 

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