堕落した民なら滅ぼしてもよいのか?


> アメリカンクリスチャン同盟を呼んで。
> モーセ亡き後 ジョシュアに導かれたイスラエルはカナンの地を手に入れます。当時
> のカナン人は滅ぼされるのに充分価値のある民族であったゆえに、それが許されまし
> た。それは全てヤハウエ様の導きによるものでしたが、暴力と強奪によるものでし
> た。   キリストの覇権は伝道と教育によるものであることは、全く同感でありま
> す。さらに1948年のイスラエル建国は、聖書預言の間違った解釈によるものです
> し、無論今回のイラク攻撃の裏には、私利私欲がよく見えています。  今までの与
> えられた情報からいってイラクの国が当時のカナン人と同じ状況であったとしたら今
> 回のイラク攻撃は正しかったのでしょうか。 いかが思われるでしょうか。

カナン征服の話は、「堕落した民なら滅ぼしてもよい」ということの例証ではありません。
カナン人を滅ぼすかどうかは神が決定されることであって、「堕落した人や民族を見たら、クリスチャンはそれらの人々を殺戮する権利がある」という結論を導き出すことはできません。

聖書の他の個所において、イスラエルが自由に堕落した民族を侵略したという記述がないからです。

私は、堕落しているからという理由だけで、その国を侵略する権利はどの国にもないと考えます。

侵略が許されるとしたら、ジェノサイド(民族浄化)など、国内の人々の生命に危機が及び、著しい人権侵害が起こっていて傍観できない場合だけだと考えます。

それは、基本として統治権は各国家に与えられていると考えるからです。

「神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。」(使徒17・26)

「すべての国の人々を・・・住まわせ、それぞれ・・・の住まいの境界とをお定めになりました」とは明らかに各国の統治領域に区別が存在することを表しています。

神は「国」を作られたということは、国と国の間にはそれぞれ独自の異なる権威が存在することを示しています。

私は世界の人々がこの「領域主権」を尊重すべきであり、むやみに他国を自分の支配下に置く権利はないと考えます。

しかし、父ブッシュ大統領がパナマに侵攻し、ノリエガを逮捕したように、アメリカは中南米の諸国を自国の一部のように扱い、そしてイラク戦争において、その範囲を中東にまで拡大しました。

今回のイラク戦争が肯定されるならば、大量破壊兵器があるという因縁をつけてどの国にも侵略が許されるということになるわけで、明らかに国際秩序の破壊以外のなにものでもありません。

これは、世界が帝国主義時代に逆戻りしたことを意味しています。

 

 

2004年8月7日

 

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