ティトゥスは、ネロの再来であり、蘇った悪魔である3


1.


黙示録は初めと終わりに「すぐに起きる」との文言があります。この言葉は黙示録全体を包括するので、パーシャルプレテリズムは成立しないのではないでしょうか。

これは、フルプレテリズムの人々の誤解でもあるのですが、「黙示録のはじめと終わりに『すぐに』という言葉があるから、全体が『すぐに』の言葉でくくられている」と考えることはできません。

なぜならば、主の御心が「旧約世界に対する裁きは近づいている。その裁きに関する状況をあらかじめ教えよう。しかし、それだけではなく、新天新地がやってきた後の歴史、つまり、新約時代についても展望を示そう」ということだと考えられます。

会社の社長が、今期に立ち上げる予定の新事業について社員に説明した後で、今期以降の長期的な展望をも示し、未来図を包括的に提示した後に「こういう展望だが、もうすぐ始まる今期の新事業について頑張ってもらいたい」とスピーチすることがあるでしょう。

「直近の計画についてのスピーチに、長期的展望を示してはならない」という道理はありません。

2.

黙示録全体が「すぐに起きる」と考えなければならない理由はないもう一つの点は、20章の千年王国の記述です。

「クリスチャンは千年の間支配する」と、直近の未来と、世界の終末の間に、千年のギャップが置かれています。

この千年は、他の預言書の数字を文字通り受け取ってはならないように、文字通り受け取るべきではなく、「千年単位の長期」を意味します。

このギャップを無視するのがフルプレテリズムです。

フルプレテリズムは「紀元1世紀に全部起きた」と考えるので「千年王国も紀元1世紀に終わった」と主張します。

読者は、そんな無茶苦茶な、と思うでしょうが、彼らは本気で信じています。

ちなみに、彼らは「大宣教命令」つまり「世界全民族弟子化命令」も紀元1世紀に全部成就したと主張します。

パーシャルプレテリズムは、「すぐに起きる」との御言葉は19章までの「再臨までの期間」に適用され、千年王国及び世界の終末には適用されないと考えます。

千年王国の期間は、カルヴァンが述べたように「戦う教会」の時期であり、クリスチャンによる世界全民族弟子化の戦いの時期です。

それゆえ、それは非常に長い時間を要します。

3.

マタイ24章の「すべてのこと」は、「24章であげられたすべての前兆」です。

弟子たちは前兆を聞いてきたので、イエスはこういった前兆がある、と指摘し、それは「この時代に起きる」と断言された。

前兆がこの時代にすべて起きるならば、再臨もこの時代に起きる。

前兆が別の時代に起きるならば、再臨が紀元1世紀に起きる可能性は幾分低くなりますが、前兆が全部紀元1世紀に起きるならば、再臨も紀元1世紀に起きる。

4.

ローマ・カトリックが、自分を反キリストと思われたくないために、数々の工作をしてきたのは、事実でしょう。しかし、それだからと言って、ローマ・カトリックがそれであると結論づけられません。

というのは、自分を反キリストと思われたくないのは、別のあらゆる偽キリスト教も同様だからです。

偽キリスト教は、自分をキリスト教と偽装しているわけですから、自分のことを黙示録の獣と見られることを嫌がるのは当然です。

それゆえ、このような「嫌がり」を見ただけで、「その偽キリスト教の正体は黙示録13章の獣である」と結論づけることはできません。

あくまでも、聖書の本文の中で証拠が提示されない限り、証明はできません。

その意味において、エドワード・ヘンドリーのアプローチは、正攻法とは言えません。それは、「社会学的アプローチ」にすぎない。

問題は、聖書が何を言っているのか、です。

5.

ダニエルで「神殿を崩壊させた荒らす忌むべき者」として描かれている人物がティトゥスであることは明らかです。

なぜならば、彼は実際に紀元70年に神殿を崩壊させたからです。

そのティトゥスは、次の聖句の「もうひとりの王」です。

「十本の角は、この国から立つ十人の王。彼らのあとに、もうひとりの王が立つ。彼は先の者たちと異なり、三人の王を打ち倒す。」

歴代のローマ皇帝を並べると、11番目にティトゥスが来ます。

そして、ヴェスパシアヌスの将軍として3人の皇帝の暗殺に加担した。

もう、バッチリですね。

ダニエル書に描かれている、この神殿崩壊を起こした「荒らす憎むべき者」は、黙示録の獣と記述がきわめて類似しています。

(1)

傲慢なことを言い、けがしごとを言う口(黙示録)
彼は、いと高き方に逆らうことばを吐き(ダニエル)

(2)

四十二か月間活動する権威を与えられた(黙示録)
聖徒たちは、ひと時とふた時と半時の間、彼の手にゆだねられる(ダニエル)

「ひと時とふた時と半時」は、1+2+0.5=3.5年。
3.5年=12 x 3.5=42ヶ月。

(3)

すると、獣は捕らえられた。・・・そして、・・・硫黄の燃えている火の池に、生きたままで投げ込まれた。(黙示録)
しかし、さばきが行なわれ、彼の主権は奪われて、彼は永久に絶やされ、滅ぼされる。(ダニエル)

ここで「荒らす憎むべき者」イコール「黙示録の獣」という図式ができあがると、次の聖句は、決定的な証拠になります。

「それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)」(マタイ24・15)

イエスは、弟子たちに向かって「あなたたちは『荒らす憎むべき者』が聖なる所に立つのを見る」と明言された。

これは、「黙示録の獣」が弟子たちと同時代の存在である、ことを証明している。

6.

この獣について、黙示録は非常に興味深いことを語っています。

「また、昔いたが今はいない獣について言えば、彼は八番目でもありますが、先の七人のうちのひとりです。そして彼はついには滅びます。」

彼は8番目の王だと。

で、リストを見ると、すでに述べたように、ティトゥスは11番目です。

しかし、ティトゥスは「3人を引き抜いた」と言われているので、3人を除外して数えると、彼は8番目になる。

「私がその角を注意して見ていると、その間から、もう一本の小さな角が出て来たが、その角のために、初めの角のうち三本が引き抜かれた。よく見ると、この角には、人間の目のような目があり、大きなことを語る口があった。」(ダニエル7・8)

さらに、ヨハネは、彼が7人のうちのひとりであると教えている。

つまり、ティトゥスは、7人の皇帝の一人の再来なのだと。

私は、この7人の一人は、ネロだと思います。

ティトゥスは、ネロの再来だった。

獣をティトゥスと考えると、666と調和が取れない。

なぜならば、666は明らかにネロを示す数字であるから。

しかし、ティトゥスをネロの再来と考えるならば、その数字が666であると解釈できる。

 

 

2020年9月19日



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